朝日のあたるブログ部屋 就職・進学支援編です。就職・進路支援に関連したブログを投稿します。実際の支援について、支援について考えたこと、拙著『就活にとまどう君へ』についての読者のご意見に関すること、などを掲載したいと思っています。就活・進学についての内容は、とくに内容についてプライバシー保護に注意したいと思います。
大学院進学・4大編入対策を考える
朝日ゼミ『就職術』の応用事例 今回は編入
(最近の実話に概ね基づいて書いてます。具体的な会話内容はフィクションだと思ってください。)
学生: 先生!
進路について、相談したいんですけど。
(2021年3月までは正規の教員。現在は退職し、その後、兼任講師として、某大学院、某大学、某短大などで非常勤の仕事もしているし、ストアカ講師もはじめたので「先生」と呼ばれる)。
私: うん。いいよ。
学生: 大学に編入したいんですが。
私: へえ。いいね。どこの大学のどこの学部を受験したいの?
学生: 〇〇大学の農学部です。
私: うちのゼミ(経済・経営系)からは珍しいね。
学生: 農学部に農業経済のコースがあるんです。
私: へえ。知らなかった。
朝日ゼミ秘伝『就職術』は、編入にも有効
学生: 先生のこの間の就活の秘伝書の話(朝日ゼミでは、秘伝『就職術』を伝授する伝統がある)を 聞いて、編入試験でも面接の準備が大切だとよく分かりました。

私: うんうん。
話しの途中からは、熱心に聞いていたね。
学生: すいません。最初は編入と就活って関係ないと思っていたので。
私: まあ、たいていの編入希望者や大学院進学希望者もそう思っているね。
学生: 僕もこの間まではそう思っていたんですよ。
だから、あの話は衝撃だったんです。
私: それで、また相談に来たわけだね。
学生: はい。そうなんです。
私: 『就職術』の概要はわかったよね。
学生: はい。だいたい、わかったように思うんですけど。
私: 『就職術』のテキストは、そもそも当たり前のことなんだけど、
就活生や受験生の視野から消えている大切なこと書いてある。
だから、はっと気付くことも多いけど、
内容は、普通に読めば理解できることかな、と思うんだよ。
※ ここでのテキストとして、朝日著『就活にとまどう君へ』(日本橋出版)の原稿を指す。
でもね、本を一読したからって簡単に内定・合格が確実になるわけではないね。
学生: はい。そうですよね。
志望動機や自己アピールの書き方がわかったつもりでも、
それを自分で書こうとするととっても難しいんです。
それに、書いたものが、これでよいのかが分からなくて。
私: だよね。
テキストは、易しく書いたつもりだし、誰にも理解できる中身だけど。
それでも、一読したら本の中身が100%すべて身につくというのは、天才ぐらいでしょう。
僕たち天才でない人は、その知識を血肉にするために、何度も練習が必要だよ。
でも、一人で練習するっていうのが、難しい。
単純に志望動機や自己アピールなどの文章がまとまっているとかどうかではなくて、
その文を読んだ採用審査の担当者が、
君を採りたいと思ってくれる質を持った文書が書けているかどうかにかかっているから。
そこを克服するのは、企業人事を行ってきた知人とか、
大学・短大だったら、就活支援センターや学生部などへの相談、
最後は、就活・進学について話し合えるゼミや友人、教員などとのネット作りかな。
就活・進学のための教室なんかもあるし、うちでは自主ゼミなんかもやっている。
自分の枠をこえたところで、点検し合うということができる環境があるといいね。
学生: そうですね。
うちのゼミでは、毎週、進路にむけた活動報告やっているから、
他のゼミ生の就活やダブルスクールなどの話が出ると、励みになります。
でも、個人的な進路先についての具体的な話しや、自己分析などについては、
先生とのマン・ツー・マンが一番かなと思います。
私: はい。おだてても、何もでませんよー。
学生: それで、志望動機などを見てもらえますか?
学生: それでは、どうすればいいですか?
私: 現在の志望動機をテキストを基に、今の自分で書ける内容WORDで書いて、メールで送って。
…… 送られてくる ……
私: あー、これでは、就活術が全く活きていないね。そもそも、志望動機がありきたり。
誰にでもかけるような内容だと、その他大勢に分類されてそれでおしまいです。
君は何を学びたいの?そこを突き詰めたアピールがないと、上位には入れないね。
例えば、農業経済を見る際に、一国農業を取り巻く状況についての自分なりの考えがあり、
その上で、現代の農業経済にもの申すために、何かを学びたいとか言えば、筋が通るよね。
ブラック企業のストレス胃炎は、医学だけでは治らない
多くの編入受験生がやる失敗のパターンに合わせて言うと、
農業経済に対する自分の物差しを持たずに、何か適当なこと、
それもまあ印象が悪くないだろうとSDGsとか、食料廃棄問題などを検討して、
おきまりのムダをなくしましょうねってレベルの精神論的結論を書くだけになりがち。
また、えてして、その主張も、食料の生産技術、保存技術、輸送技術などといった、
素材的・技術的な側面に限定されて、
食料生産をめぐる人間関係・社会的側面での問題意識があるから農業経済を学ぶのだ、
と、いうところが見えてこない。

胃薬飲みましょうね?
例えば、ブラック企業である社員がストレスのために胃炎になったとする。
この問題に「胃薬のみましょうね。」と、答えるのは、お医者様。
それは社会問題だから、ブラック企業を社会的に監視・統制しようというのが経済学者。
お医者様の回答は、人体の回復機能をはかるという意味では重要だけど、
それが、根本解決にならないのが分かるでしょ。
大学側が経済学を学びたい人を採る枠を設けているのに、
農業技術などを言うだけではどうかなってこと、分かるよね。
学生: はい。そうですね。
私: それなら、君が学びたい食品廃棄は社会問題としてどう考えればよいの?
学生: え、それは、もったいないし、環境破壊につながっているし。
経済学は推理小説
私: そういうことではなくて、君が行きたい経済学関連のコースだったらだよ。
そもそも食品廃棄って、だれの利益につながってるの?
つまり、だれが何のためにやっているの?
誰かの利益につながらないのに、繰り返しそれが起こることって考えられないでしょ。

え、だれかの利益になるの?
学生: ……。
私: リストラだって長時間労働・低賃金・過密労働だって、誰かが徳をするから
繰り返し続いているんじゃない。
社会科学、とくに経済学は、推理小説と同じで、誰の利益になるのかな、と、
エルキュール・ポアロのように灰色の脳細胞をつかわないと。
新聞やメディアはストレートには教えてくれないんだから。
学生: あ、「経済学は推理小説」は先生の口癖でしたね。
ちょっと考えていませんでした。
私: 直ぐ答えがでないなら、日本の農業問題、食糧問題について、概観を作ろう。
私の論文にも、戦後日本農業の概観を示しているから、参考に、どうぞ。
また、食品廃棄に対する先進国と日本との違いを見て、
なぜそうなっているのかを考えるのも力が付くかもね。
……
少しわかってきたけど
学生: 先生。この間の論文お返しします。
食料安保、食品関係の企業、財界の労働力政策など、すこし囓ってみて、
日本の農業の深刻さ、過疎過密問題、農村の高齢化などが少し分かってきました。
それと、食品加工業とか、売れればよいといった企業の存在や、
消費者に過剰な消費要求を持たせるための宣伝といったことも気になるようになりました。
先進国をみると、市民意識の高さや、市民運動・労働運動の力の強さなど、
日本とはずいぶん違っているところが見えてきて、
それを日本でどう実現するか、
実現の妨げになるものは何か、このあたりを具体的に分析したいと思います。
それを卒論にし、面接では、卒論では到達できなかった諸課題を示し、
残された課題の答えを出すために学ぶために編入を志望したことを
話したいと思います。
私: 了解。大分具体化されてきたね。
次は、それを実現するために、どうしてその大学を選んだのか、
どの教員のどんな研究をみて、その先生のゼミに行きたいと思ったか、
そこで何を学びたいのかを明らかにしよう。
最後に、卒業後の進路についてもぼんやりとでよいから展望しておこう。
ライフワークも見えてくるかも知れないよ。
学生: その大学の施設・設備など学ぶ環境が整っていて、とか、
伝統に引かれて、ことは書いた方が良いのでしょうか?

施設や環境、伝統が……
私: 私だったら、それは、一切書かないかな。
だって、そんなの誰でも書けるから。
そんなこと書いてくる受験生って、ありきたりの進学意欲しかないっていってるようなもの。
何度もそんな話聞かされて、嫌気がさしていると思うよ。
学生: そ、そうですか。大学を褒めるようでいいのかな、と思ったのですが。
バレリーナに「スリムですね」は、褒め言葉にならない
私: 確かに「ほめほめ」は、就活術の一つの柱だね。
しかしね。褒めるものを選択しないと、おおきな落とし穴に落ちるよ。
つまり、バレリーナに、
「いやースリムですねー」「うらやましー」とかいっても褒めたことにならないわな。
バレエの技術、芸術性に感動しましたとかでないとね。
個人として、痩せる努力に関心があっても、褒めるところはそこではないよね。
大学が政策的に行っている研究や教育のプロジェクトを褒めるのはよいかもしれないが…。
ただ、施設設備が整っていますではなく、
何を目的にその施設設備を整えているのかという点での大学側のビジョンとか、
そのための努力とかを褒めるのならいいけど。
駅から近いところに土地を集めて、すごく費用がかかったでしょう、は、褒めにはならない。
だから、これから学ぼうという訳だから、学のレベルを褒めなければ。

ぼくなら、学のレベルについて書くかな
学生: わ、わかりました。
それでは、自分の学びの到達点を反省し、〇〇大学〇〇学部の☆☆先生のゼミで学ぶため、
貴学を志望しました、というストーリーを考えます。
私: だいたい、それでいい。
具体的に書いて、データ送って。関連資料もあれば添付ね。☆☆先生の論文なども。
添削は、朱で真っ赤になるかもしれないけど、何度かやりとりして、朱をなくしていこう。
学生: えー、緊張するなあ。
……… しばらくたちました。 ……
合格通知が来ました!
学生: 先生!
〇〇大学から合格通知が来ました。
私: おお!
ほんとーに、よかったねえ。
学生: 先生のアドバイスで入れました。
私: 君の力で入ったんだよ。僕は、それを支援しただけ。
…… これは、7月末の水曜日のお話し ……
朝日ゼミ『就活術』の習得事例でした。