ソシラボ社会科学セミナーの2023年1月の開講科目
ソシラボの社会科学セミナーの2023年1月の開講科目と時間割です。
< 基礎クラス >
1週〜3週 「今年の漢字」は「戦」だなんて!
ー戦争はなぜおこるのかを考えるー
2022年を振り返ると色々なことがありました。日本漢字能力検定協会が全国から募集して、どんな一年だったかを漢字で表す恒例行事「今年の漢字」。清水寺の森貫主が書いた漢字は、なんと「戦」でした。
世界各地で戦闘が続いています。なかでも2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、その惨劇が連日のように報道され、多くの人が心を痛めています。
国家間の対立を理由に、世界で大規模な軍拡が進められつつあり、日本も例外ではありません。
どうして、戦争が起こるのか。これは人類が歴史を通じてずっと懐いてきた疑問です。
そもそも人間が好戦的だから戦争がおこるのでしょうか。それとも、何か神秘的な力が働いて人類の終焉を迎えさせようとしているのでしょうか。
SDGsと向かい合う時代に、人類は戦争をしている余裕があるのでしょうか。
クラスでは、現代社会には戦争を起こす基本的な要因が存在すること、それを回避するための試みについて解説します。
4週〜5週 山が麓に降りてきた
ー高齢化がすすむ鹿児島の農村の未来を考えるー
ニュースで「えんがい」と聞くと、まず「塩」の害かと思いますが、最近のニュースで多いのが「猿」による被害です。猿以外にもイノシシやシカ、クマによる被害のニュースも耳にします。特に市街地でクマに襲われたというニュースは、日本の農山村がどうなっているのか、と心配になります。
このような動物による被害の背景には、「山が麓に降りてきた」と言われる農山村の変化があります。
「山が麓に降りる」というのは、以前の耕地なら人がいて動物も警戒して降りて来なかったのに、だんだんと荒廃地が増えてきていて、人がいなくなり身を隠しながら麓に出てくることが可能になったという事情があります。
では、なぜ人がいなくなってきているのか。農業従事者の高齢化が進む鹿児島の農村を考えます。
< 応用クラス >
1週〜3週 社会の仕組みと歴史のながれ
ー社会の法則をとらえるー
1月の応用クラスは、新しいコースの第1回として、「社会って何?」「どういうなっていて、どう動いているの?」を知る方法として、社会の仕組みと歴史のながれの中にある法則をテーマにします。
クラスでは、人類の歴史を振り返り、
・もともと平等であった社会が、階級に分裂した理由
・それぞれ時代の階級関係が、それぞれの時代の社会に与えた特徴
・その社会を維持するために生まれた諸制度と人々の暮らしへの影響
・経済が発展していくにつれて生じた社会の変化
・次の時代の特徴の担い手の形成と歴史を動かすエネルギー
等について解説します。
・歴史が男社会(家父長制)を生んだ理由
・法律や制度、文化や思想が時代によって変化してきた背景
なども、社会の法則から捉え返します。
4週〜5週 市民社会を作りたい
ー近代前の社会思想家・経済学者が求めたものー
封建社会が末期になると、封建領主層が没落し、商人層の力が増してきます。この二つの階級の利益には違いがありますが、国王が封建貴族の代表として、また、商人層の保護者としての役割を果たすようになり、二つの階級から支持されるようになると、超絶な権力を握るようになります。こうして生まれるのが絶対王政です。イギリスのエリザベス1世やフランスのルイⅣ世の時代が有名です。
絶対王政は、中央常備軍、中央官僚を従え、強大な権力を握っていました。王は、領土の継承権をめぐって度々戦争を起こし、戦費のために調達される年貢や税は増大し、民衆は反発しはじめます。特に新興の商人層や工場主達は、新しい社会を求めるようになります。
歴史をみると、新しい社会の形成に真っ先にかかわるのは文化です。その次に社会のシステムへの批判が起こり、次の社会への理想や展望が語られるようになります。絶対王政をこえて市民たちの社会へ。貴族も特権的商人もいない社会を求めて、新しい社会思想が生まれ、新しい学問として経済学が生まれます。
クラスでは、これらの新しい思想や学問が、その時代のニーズに応えて、何を主張していたかを学び、歴史と学問・思想の関係を検討します。