社会科学研究室ソシラボの2024年1月開講講座(Zoom教室)の御案内です。
社会科学の学習に
入門編:古典学習会(1)『空想から科学へ』読書会
1月 第2、第4火曜日 19:00-20:00
フリードリヒ・エンゲルス『空想から科学へ』読書会
本書は社会科学の入門として世界的に有名です。
近代市民社会が成立して以来、貧困や失業、恐慌に苦しめられる社会の問題を克服するために、人びとは社会解明の努力をし、社会変革を語ってきました。しかし、ユートピア的な理想を社会に押しつけるのではなく、社会の法則を理解してそれを利用することで社会を変えるという科学的な変革の道が示されるようになります。本書はその経過を分かり易く示しています。
マルクスの友人であり、科学的社会主義の学説の創設者が、社会科学の根本問題を考える良書です。
応用編『資本論』学習会
1月 第2、第4水曜日 20:30-22:00
カール・マルクス『資本論』学習会
本書は資本主義社会の中心法則である資本の運動を解明した書です。
私たちの暮らす資本主義社会では、物品を生産し交換することだけが目的ではなく、投資した以上の売上を通じて利益を生み出すことが目的となっています。
どうしてこの利益が生み出されるのか、これは経済学の大きな問題とされていました。その理由を、資本家が労働者を搾取することで剰余価値を手に入れる仕組みとして解明したのが本書です。
労働者は労働を通じて新たな価値を生産し、賃金以上の価値を生み出すことができます。その賃金を超える部分が、資本家の利益(剰余価値)となります。
資本家の利益は不払い労働から生まれるので、資本家は労働時間を延長し、賃金を抑制し、労働を強化しようとし、私たちが目にするブラックな関係をつくり出します。また、抑制された労働者の所得は、社会的消費力を抑制する一方で、資本主義の下での生産力の発展は多くの商品を生み出すので、供給が需要を上回るアンバランスを生み出し、そのバランスが崩れるとき恐慌が発生します。
資本主義を根底から理解するには、不可欠の書です。
1月は、貨幣論が主な学習内容になります。
応用編 古典学習会(2)『帝国主義論』読書会
1月は、17日、31日(第3、第5水曜日)20時30分〜22時
ウラジーミル・レーニン『帝国主義論』読書会
ウクライナやパレスチナ、紛争が続く国々。どうしてこのようなことが繰り返されるのでしょうか。
人間の性だといって諦めたり超自然的なものに救いを求めたりするのではなく、解決する方法を考えましょう。
このような争いが20世紀以降の発達した資本主義の法則が生み出す事態であることを示したのがレーニンです。本書は、現代資本主義が少数の巨大企業が自らの利益のために、国家と癒着し、海外での利益を確保するために、他国の資本の利益を抑制するために植民地をつくり争う合う姿を法則的にとらえています。平和を欲する世界の人びとに参考にしてほしい1冊です。
1月で『帝国主義論』は終了です。
この後、マルクス『賃金・価格・利潤』(経済学分野)を採り上げ、その終了後『反デューリング論』(哲学・経済学分野)を学びます。
応用編 『現代資本主義と資本・賃労働関係』学習会
1月は、1月20日、第3土曜日 10:30〜12:00 am
朝日吉太郎『現代資本主義と資本・賃労働関係』
現代資本主義は世界のあり方を根本的に規定しています。しかし巨大な生産力は人びとの豊かさにつながらず、それどころか貧困や格差が拡大し、ハラスメントや環境破壊、恐慌や戦争が繰り返されています。
この状況に立ち上がったのは搾取され、抑圧されていた労働者でした。労働者は労働組合運動や共済活動、政治運動で労働者の社会権を拡大しようとしますが、当初は資本家と国家による厳しい弾圧を受けます。資本主義の発達とともに労働運動を暴力的に押さえ込むことが難しくなっていくと、資本と国家は、労働者の運動を変質させるための様々な試みがおこなうようになります。労働組合や労働者政党の上層部が買収されたり、労働者の上層部を優遇することで協調的な労資関係が形成されます。闘わない労働運動を作り上げている要因は何か、そして特に日本の状況が深刻になっているのはなぜか、現代資本主義の法則理解を通じ、またドイツと日本の現状を比較して、この問題を考えます。
1月は、第3部第2章グローバル化以降のドイツの労使関係の変化について検討します。
自主ゼミナール
毎週木曜日 21:00-22:00 1月は1月11日からのスタートです。
受講生が気になるニュースを持ち寄り、論点を提起して、参加者全員でニュースの内容を深めるゼミナールです。
テーマは受講生の提供するデータによるため、週ごとに変わります。
自主ゼミナールでの最近の話題
- イスラエルのガザ侵攻と、地中海の天然ガス田、油田をめぐるアメリカとイスラエルの思惑について
- ウクライナ戦争の見方と解決に向けて解決すべきことリスト
- 日本の労働組合運動と協調主義の源
- 原子力発電とその背景にある利益構造
- 放射能汚染水流出についての考え方
- 金と政治で、東京地検がなぜ今動くのか?その政治的背景とは何か?
ドイツ語講座
ツヴィンガー城、ドレスデン
隔週日曜日の10:30-12:00 1月は1月24日(第4日曜日)以後、第2、第4週です。
会場 鹿児島市勤労者交流センター(中央駅前のイーオン7階よかセンター)や、その他の公共施設で開催します。
2023年10月からドイツ語講座は、に、ドイツの新聞・雑誌やその他メディアから文章を取り出して生きたドイツ語を読み解く内容になりました。
実際の記事などを読み解くのはなかなか大変で、頑張れば力がついてきそうです。
これから、講師がどんな分野を取り扱うのか楽しみです。
テキストと内容
2024年1月の時間割
料金
料金一覧
講座名 | 社会人(1回:税込み) | 学生・高齢者・その他 |
『資本論』学習会 | 1000円(月2000円) | 500円(月1000円) |
古典読書会1『帝国主義論』 | 1000円(月2000円) | 500円(月1000円) |
古典読書会2『空想から科学へ』 | 1000円(月2000円) | 500円(月1000円) |
『現代資本主義と資本・賃労働関係』読書会 | 1000円(月1000円) | 500円(月500円) |
ドイツ語講座 | 2000円(月4000円) | 1000円(月1000円) |
受講予約とお問い合せ
メールでのお申し込み : info@soscilabo.com
お問い合せフォーム:
参考文献
ところで、1989年のベルリンの壁崩壊以降のグローバル化とは何かについて解説したのが、朝日吉太郎編著『グローバル化とドイツ経済・社会システムの新展開』文理閣、2003年です。現在の欧州のグローバル化については朝日吉太郎編著『欧州グローバル化の新展開』文理閣、2015年が参考になります。コロナ禍・ウクライナ紛争など2020年代の欧州のグローバル化については、著作を計画中です。
グローバル化とドイツ経済・社会システムの新展開
欧州グローバル化の新展開