ドイツ人は料理をつくらない人たち …… らしい
ドイツ語入門教室では、ダイアローグを利用し、文法事項を重視した講義がおこなわれていますが、それだけでは、つまらない。いろいろな逸話が飛び出してきたり、文化、慣習、社会、政治などの様々な話題で、それを聞くだけでも楽しいのです。
先週の日曜日の話題。
ドイツ人の一戸建ての家の敷地面積は最低300㎡と定められている。その(我々から見たら)大きな家(だいたい200㎡以上)には、とっても立派なキッチンが備え付けられている。
ところが、このキッチンで料理するものは誰もいない。
信じられないかも知れないが、ドイツ人は一部の人を除いて食に関心を持たず、パンとチーズとハム・ソーセージのいわゆる冷たい食事(kaltes Essen カルテス・エッセン)がずうっと毎日続くことに違和感がない。友人が来てご馳走となると、料理ではなく、屋外でのバーベキューになる。
だから、おばあちゃんたちの世代を除く女性達で、料理をできる人がまずいない。もちろん、伝統的な料理というものが存在するが、クリスマスを除けばほとんど調理をすることなんてない。
講師自身がホームスティを1月半近くしたときも、ほとんど毎日同じカルテス・エッセンだった。スープなんて出てくると『ご馳走』だった。
ドイツでも特にプロテスタント(新教)を侵攻する地域は、その傾向が強い。自分たちや贅沢な食事をしていても天国に行ける免罪符を売っていたカトリックのお坊さんたちを批判したのが彼らだった。それに対してカトリックを信仰する地域だと、そうではない。だから、ラテンヨーロッパ系の国々では、食事が美味しい。
ピューリタンが流れ着いたアメリカ人は、トウモロコシさえたべていれば満足できる人たちだ。だからアメリカに美味しいものは期待できない。後の移民などによって状況の変化はあるが。
もちろん、ドイツ人にも美食を追求する人もいるが、それは講師の経験ではとっても特異な人である。
と、いうことで、ドイツ人=料理をしない人々=美食を追求しない人々という食文化的特徴が強く語られた講義でした。
私の知人のドイツ人たちは、フランス料理や日本料理を作ってくれるような「特異な」人々だったので、講師の体験に基づくこの話しはとっても興味深く思えました。
ちなみに、私は、今朝は手抜きで、パンとミルクとトマトでした。
ドイツ人化してきているのかしら。
【予告】ソシラボでは、もうすぐ、「ヨーロッパとワインを語る夕べ」(月1回を立ち上げます。)